- ホーム
- 対処ツール
- 心の病気についての基礎知識
- 2.双極性障害(躁うつ病)とは?
心の病気についての基礎知識
2.双極性障害(躁うつ病)とは?
双極症(躁うつ病)とはどんな病気?
双極症(躁うつ病)は、気分が極端に高まる「躁(または軽躁)状態」と、気分が落ち込む「抑うつ状態」を繰り返す病気です。誰にでも気分の波はありますが、双極性障害ではそれが非常に激しく、自分ではコントロールできないほどになります。20歳前後で発症することが多いですが、どの年齢でも起こり得ます。約100人に1人弱が経験すると言われています。
うつ病と間違われることが多く、初めはうつ病と診断される人が少なくありません。しかし、治療法が異なるため、正しく診断されることが重要です。
双極症の主な症状
双極症には「躁エピソード」と「抑うつエピソード」※があります。※エピソードとは「症状が持続している期間」• 躁エピソードであらわれる症状
• 気分が高揚し、活動的になる。
• 睡眠が少なくても元気で、多弁になる。
• 自分は何でもできるといった根拠のない自信を持ち、無謀な行動をする。
• お金を使いすぎたり、性的な欲求や行動が増したりして、トラブルを引き起こすことがある。
• 睡眠が少なくても元気で、多弁になる。
• 自分は何でもできるといった根拠のない自信を持ち、無謀な行動をする。
• お金を使いすぎたり、性的な欲求や行動が増したりして、トラブルを引き起こすことがある。
• 抑うつエピソードの症状例
• 強い気分の落ち込みがほぼ毎日続く。
• 何をしても楽しめず、好きだった活動にも興味がわかなくなる。
• 睡眠や食欲の変化、集中力の低下、疲労感が続く。
• 自分を責めたり、否定したりする考えにとらわれ、自殺願望が生じることもある。
• 何をしても楽しめず、好きだった活動にも興味がわかなくなる。
• 睡眠や食欲の変化、集中力の低下、疲労感が続く。
• 自分を責めたり、否定したりする考えにとらわれ、自殺願望が生じることもある。
このほかに、躁状態と抑うつ状態が切り替わるときに、躁状態とうつ状態が混ざって表れる「混合状態」になることもあります。
• 混合状態の症状例
• 気分は高ぶっていて、興奮して次々に話をするけれども、一方で強い不安や悲しさから涙が止まらなくなったりする。
• 気分はとても落ち込んでいるのに、頭の中だけは「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と忙しく考えが巡り、じっとしていられなくなる。
• 気分はとても落ち込んでいるのに、頭の中だけは「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と忙しく考えが巡り、じっとしていられなくなる。
躁とうつの症状が入り混じるため、本人も家族も混乱しやすい状態です。このようなときは早めに医師に相談し、適切な対応をとることが重要になります
双極症の経過
双極性障害(躁うつ病)は、気分が高まる「躁状態」と、落ち込む「うつ状態」を繰り返す病気ですが、その経過には個人差がありますが、一般的には以下のような特徴が見られます。●症状の持続期間
躁状態 :突然に始まり、通常2週間から4~5か月間続きます。持続期間の中央値は約4か月とされています。
うつ状態:躁状態よりも長く続く傾向があり、持続期間の中央値は約6か月です。ただし、高齢者を除いて、1年以上続くことはまれとされています。
●再発と寛解のパターン
双極性障害の再発頻度や、寛解と再発のパターンは、個人によってさまざまです。しかし、一般的に、寛解期(症状がない期間)は年が経つにつれて短くなる傾向があります。また、中年期以降になるとうつ状態が起こりやすく、長引くことが多いとされています。
●急速交代型
特に注意が必要なのは、1年間に4回以上の躁状態とうつ状態を繰り返す「急速交代型」と呼ばれる状態です。この状態は治療が困難になることがあります。抗うつ薬の安易な使用がこの状態を引き起こす危険性があるという指摘もあります。
双極症の治療法
双極症の治療は薬物療法が基本になります。また薬物療法に心理社会的治療を組み合わせると、より効果的であることがわかっています。●薬物療法
薬物療法は、躁やうつの症状を抑えるために行います。主に以下の薬を使います。
• 気分安定薬(炭酸リチウム、バルプロ酸、ラモトリギン): 気分の波を安定させるために用います。躁とうつの再発予防に効果的です。
• 抗精神病薬(アリピプラゾール、オランザピンなど): 躁エピソードを抑えるために特に有効です。
• 抗精神病薬(アリピプラゾール、オランザピンなど): 躁エピソードを抑えるために特に有効です。
なお、双極症の治療では、抗うつ薬の使用は慎重に行う必要があります。抗うつ薬を単独で使うと躁転(うつから躁に転じる)が起きる可能性があるため、基本的には避けることが推奨されています。
●心理社会的治療
心理社会的治療は、双極症と上手につきあい、再発を予防したり、社会復帰を促進したりすることに役立ちます。
主なものに以下の方法があります。
心理教育
病気の正しい知識や対処法を患者や家族が理解し、症状に対処したり、再発を防いだりするための情報を提供する支援です。通常の外来診療の中で、主治医が行うものから、同じ病気の当事者や家族があつまって、集団で行うものまで、さまざまな形式で行われます。
対人関係社会リズム療法(Interpersonal and Social Rhythm Therapy: IPSRT)
IPSRTは、双極症の治療に役立つ心理療法です。双極症では、対人関係のストレスや生活リズムの乱れが、躁(気分が高まった状態)やうつ(落ち込んだ状態)を引き起こすきっかけになることがあります。そのため、IPSRTでは次の2つを行います。
薬物療法と組み合わせて行うことで、患者さんが自分で病気をコントロールし、日常生活を安定させる力を身につけるためにも有効な方法です。
認知行動療法(CBT)
認知行動療法(CBT)は、双極症に対しても効果があることが証明されている心理療法です。双極症の認知行動療法では、以下の3つのポイントが特に重視されます。
これらの取り組みを通じて、気分の波をコントロールし、安定した生活を送れるようになることを目指します。考え方や行動のパターンを見直し、気分の波をコントロールする技術を身につけます。
病気の正しい知識や対処法を患者や家族が理解し、症状に対処したり、再発を防いだりするための情報を提供する支援です。通常の外来診療の中で、主治医が行うものから、同じ病気の当事者や家族があつまって、集団で行うものまで、さまざまな形式で行われます。
対人関係社会リズム療法(Interpersonal and Social Rhythm Therapy: IPSRT)
IPSRTは、双極症の治療に役立つ心理療法です。双極症では、対人関係のストレスや生活リズムの乱れが、躁(気分が高まった状態)やうつ(落ち込んだ状態)を引き起こすきっかけになることがあります。そのため、IPSRTでは次の2つを行います。
・ 対人関係の調整:家族や職場での問題、ストレスを改善するためのコミュニケーション方法を学びます。
・ 生活リズムの安定化:「社会リズム表」を用いて、毎日の起床・就寝、食事の時間、社会活動などを記録し、自分の生活リズムをモニタリングし、整えていきます。
・ 生活リズムの安定化:「社会リズム表」を用いて、毎日の起床・就寝、食事の時間、社会活動などを記録し、自分の生活リズムをモニタリングし、整えていきます。
薬物療法と組み合わせて行うことで、患者さんが自分で病気をコントロールし、日常生活を安定させる力を身につけるためにも有効な方法です。
認知行動療法(CBT)
認知行動療法(CBT)は、双極症に対しても効果があることが証明されている心理療法です。双極症の認知行動療法では、以下の3つのポイントが特に重視されます。
① 双極症について理解する(心理教育)
まず、自分の病気(双極症)の特徴や、躁とうつの気分の波について詳しく学びます。自分の病気をよく知ることで、再発や症状の悪化を予防することができます。
② 気分や症状をモニタリング(観察・記録)する
日常生活の中で、自分の気分や行動を日々記録します。特に「ライフチャート」や「社会リズム表」を使って、躁・うつの波やそのきっかけを把握します。こうした記録により、自分の気分が変化するパターンに気づきやすくなり、早めに対処できるようになります。
③ 考え方や行動パターンの改善
双極症の人には、気分の波を引き起こしやすい「考え方のクセ」や「行動のクセ」があります。それらのクセを自分で気づき、修正していきます。具体的には、
躁状態を防ぐ方法:興奮しすぎるような状況を避ける(刺激統制法)、気分が高まりすぎないよう、自分の活動量を意識的に調整する。
うつ状態への対処法:気分が落ち込んだときに役立つ活動(気分転換や楽しめる活動)を増やす(行動活性化)、自分を苦しめるような否定的な考え方を見直し、柔軟に考えられるようにする(認知再構成)などがあります。
まず、自分の病気(双極症)の特徴や、躁とうつの気分の波について詳しく学びます。自分の病気をよく知ることで、再発や症状の悪化を予防することができます。
② 気分や症状をモニタリング(観察・記録)する
日常生活の中で、自分の気分や行動を日々記録します。特に「ライフチャート」や「社会リズム表」を使って、躁・うつの波やそのきっかけを把握します。こうした記録により、自分の気分が変化するパターンに気づきやすくなり、早めに対処できるようになります。
③ 考え方や行動パターンの改善
双極症の人には、気分の波を引き起こしやすい「考え方のクセ」や「行動のクセ」があります。それらのクセを自分で気づき、修正していきます。具体的には、
躁状態を防ぐ方法:興奮しすぎるような状況を避ける(刺激統制法)、気分が高まりすぎないよう、自分の活動量を意識的に調整する。
うつ状態への対処法:気分が落ち込んだときに役立つ活動(気分転換や楽しめる活動)を増やす(行動活性化)、自分を苦しめるような否定的な考え方を見直し、柔軟に考えられるようにする(認知再構成)などがあります。
これらの取り組みを通じて、気分の波をコントロールし、安定した生活を送れるようになることを目指します。考え方や行動のパターンを見直し、気分の波をコントロールする技術を身につけます。